空気清浄機彼女
男の周りを
一陣の風が通り過ぎていった。

花びらを舞い上げ
男の周りをまわっている。

桜の花びらに囲まれる男。


「かわいそう…」


その言葉は
一陣の風と共に

男の後ろから
突然聞こえて来た。

「どんな花も花は花…」

その禅問答のような言葉に
男は思わず振り向く。

そこには女性が立っていた。
匂い立つようなその姿。

耳の裏が
熱くなっていくのを感じる。

その女性は
男の足元を見て悲しげな眼をしていた。

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