図書室の悪魔
「返却期限は、来週の月曜日です」
図書カードに日付の判を押して、相手に渡す。
律儀にもありがとうとお礼を言った女生徒は、そのまま本を大切そうに抱えて出ていった。
「お疲れー。今の子で最後よね?」
「あ、はい。多分そうだと思います」
声を掛けてくれた先輩に頷くと、先輩は念のためと閲覧室を覗いて誰もいないことを確認していた。
「あたし、閉める前にちょっとトイレ行ってくるから、パソコンの電源だけ落としておいてもらえる?」
「はい」
荷物を置いたまま出ていった先輩の言いつけ通りに、貸出作業用のパソコンの電源を落とす。
完全に落ちるまでに時間があるので、荷物をまとめようと鞄を引っ張り寄せるとバランスが崩れて鞄の中に入っていた筆記用具がガチャンと音を立てて落ちた。
「あっちゃー」
しまったなあとばらけた筆記用具を広い集めていると、カウンターの向こうにプリクラが落ちているのに気がついた。
「もー、ツイてないなあ・・・・・・」
椅子から立ち上がって、カウンターをぐるりと回らないと取りにいけない。
しょうがないと立ち上がろうとしたところで、奥の教員室から出てきた手がそれを摘み上げた。