図書室の悪魔

「あ、先生・・・・・・」

 出てきた人は、瀬川和己。
 司書だという男の人だ。
 中学ではそんな役職の人を聞いたこともなかったのだが、どうやら図書室専門で勤務しているらしく、先生ではないらしい。
 けれど、どう呼んでいいのかもわからないから、呼称は先生でいいらしい。

「これ、お前の?」
「はい」
 受け取ろうと手を差し出したところで、先生の拾ったプリクラに写っている絵に気づいてぎょっとした。

(まさかまさかまさか・・・・・・!)

 どうか気づいていませんように、と祈りながらプリクラを受け取ろうとすれば、てのひらに乗せられる寸前でひょいっと避けられた。
 そうして、にやにやとした笑みを向けられる。

「女同士でも、こんなん撮るんだな」

 へえ、といやらしくそのプリクラを見つめる先生。
 そこに写っていたのは、あたしと里子。
 しかも、付き合っていたころにふざけて撮った、ふたりでキスをしている写真だった。
 そんなの、もう処分したと思ってたのに、どこに紛れていたんだろう。

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