図書室の悪魔

「・・・・・・っ!」

 キスをされたのだと気づいたときには、もう先生はあたしから体を離して、持っていたプリクラはどこかへしまわれていた。

「ちょっ・・・」
 この変態教師!と怒鳴ろうとしたが、息を吸ったところでトイレに行っていた先輩が戻ってきた。

「先生ー、あと鍵締めだけですから」
「おう、ご苦労さん」
 先ほどまでの攻防など何もなかったような顔をして、先生は気障に片手をあげて微笑んでいた。

「倉田さん、帰ろうか」
「は、はい!」
 ひきつった顔で返事をしながら、あたしは落ちた荷物を拾い集めて先輩の後について扉を出る。
 後ろをちらりと見れば、先生の口がぱくぱくと小さく動いたのを、あたしは見た。

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