図書室の悪魔

「あの、プ・リ・ク・ラ」


 一音一音をはっきり区切ってその存在を思い出させられて、あたしは絶望した。

 そうだ。
 この男の手元には、あたしと里子のちゅープリが握られているのだ。
 逆らったりなんかしたら、どうなることか。
 あたしだけじゃなく、里子の人生も左右するものを握られているということに、あたしはショックを隠せない。

 あからさまにおとなしくなったあたしの耳元に囁かれる、甘く低い声。

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