頑張り屋な彼女と紳士の皮を被った狼
「お先に失礼しますー」

「市川さん、がんばってね……」

「はい、おつかれさまです」



同僚の退社の挨拶に、私はパソコンから視線を外さないまま返事を返す。

時刻はもう7時を回った。

この時間になるとフロアからはほとんど人がいなくなる。

だが、こっちはまだまだ終わりそうにない。


だいたい、これだけのもんを今日中に終わらせようってのが無理だっつうの!

私は入社5年目の26歳だから仕事にも慣れてるし、一応、「仕事ができる」で通っている。

おかげ様で任される仕事も多い。

責任感ある仕事を任されるのはやりがいがあるし、自分の実力にもなると思ってるが――。


でも、限度があるだろう!

はっきり言って、内心ブチギレだが、仕事は仕事。

やるからには完璧にやり遂げる!

私は猛スピードでキーボードを叩いていった。


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