頑張り屋な彼女と紳士の皮を被った狼
「終わったーーー!!」


思わず声をあげていた。

見直しもしたし、保存もバッチリ。

後はプリントアウトして、明日朝一で鈴木に見せて微修正すればいいだけだ。

自分で言うのもなんだが、完璧な出来に満足する。


ふと時計を見ると9時を回っていた。

何が『お前なら3時間くらいで』だ。

普通だったら終電間に合ってないっつうの!


フロアを見渡すと私一人だけだった。

電気も私の回り以外ついていない。

いつの間にやら全員帰宅してたらしい。

どれだけ集中してたんやら。

でも、それくらいじゃなきゃ終わってなかったしな……。

そうひとりごちて、肩を回しながら印刷ボタンを押した。


集中力が切れたらお腹が空いてきた。

私は一人暮らしだが、こんな時間から自炊する元気はない。

……今日はコンビニ弁当かな。

そう心の中で呟いて、ため息をつく。

コンビニのお弁当って好きじゃないんだよね。

味が濃すぎて私には合わない。


これもみんなあの鈴木の馬鹿のせいだ!

また、ムカムカしながら帰り支度をしていたら、入口の方から声がかかった。


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