頑張り屋な彼女と紳士の皮を被った狼
肝心の中身は手握りおにぎりにちょっとした惣菜の詰め合わせ。

好きなのを選んでいいと言われて、ちょっと遠慮しつつも鮭としぐれをゲット。

かわいげがない、なんて言わないで!

好きなんだからいいじゃん。


主任はその選択に何を言うでもなく、にこにこしながら残りのおにぎりをどんどんお腹に入れていく。

やっぱ、男の人はたくさん食べるのねー。

3つあったおにぎりを、もうペロリである。

私は未だに口の中をもぐもぐさせている。

ああ、ほんとここのはおいしい。しあわせ~~~。


「ぷっ」


横で、吹きだす声がした。

見ると主任が口に手を当てながら笑いをこらえている。


「ちょっ、主任。何で笑うんですが!」

「いえ、ほんと市川さんは幸せそうに食べるなーと思って」


む、悪いか! おいしいもの食べて幸せで何が悪い!


「悪いなんて思ってませんよ。ほら、女性って小さな口でちょこちょこ食べるじゃないですか。
 しかも、かなりの小食で。市川さんはがぶっていって、おいしいって気持ちが満面に出ていていいなって」


……それって、誉められてるんですか?

男性的にはもっとおしとやかで、女の子らしいほうが好印象じゃないのか?


「僕はそんな市川さんの豪快だけどかわいらしいところ、好きですよ?」

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