黒い男と白い女
電車に揺られながら考える。


自分はいつからここまで無気力になったのか。


大学入学当初は新たな生活への希望でやる気に満ちていた。


勉強を頑張って、サークルで活躍して、彼女を作って。


誰もが羨む大学生になろうと思っていた。


しかし、今じゃそれが全て真逆だ。


講義に出席しても全て右から左へと聞き流し、サークル活動も入学して半年で辞めた。


彼女にいたっては周りに女の気配さえない。


……橋崎か。


あいつは別だ。あいつにはただ付きまとわれているだけ。


それ以上でも以下でもない。


なにひとつ上手くいっていない。


「……つまんねぇ」


ポツリと呟いた。


変わらない環境に腹が立つし、なにも変えようとしない自分にはもっと腹が立つ。


平凡が一番なんて言うやつがいるけど、こんな平凡ならいらない……。


俺はもっと……。


もっと、刺激的な生活がしたい。
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