黒い男と白い女
「次は渋谷、渋谷。お降りの方は……」


「4名様グループ歓迎……」


「本日ドリンク半額……」


「団体グループ様、1名むりょ……」


大学よりも都心。人で溢れかえっている。


上京したてはスクランブル交差点を見て何の祭りかと驚いて、田舎者丸出しだった。


今ではこの光景が日常になっている。


リクルートスーツを来た新人サラリーマン。彼氏との待ち合わせか、しきりに携帯を見ている女。ドタバタと走って行く小学生。


そんな中を俺はひとり歩いていた。


「本日、ゾロ目日!出玉出血大サービス!!」


ここ最近、通いつめているパチンコ屋に足を向けると若い店員が必死に呼び込みをしていた。


その声にひかれるように、俺はフラフラと店内へと足を進めた。
< 5 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop