黒い男と白い女
チラチラと輝く光。うるさいまでの電子音。立ち込めるタバコの煙。


そんな中、俺は一番人気が少ない列に腰をおろした。


ポケットからiPodを取り出し、慣れた動作でお気に入りの曲を選曲する。


ジャカジャカと激しいリズムが頭を流れ始めた。


財布から金を取り出し、ゲームを開始する。


しばらく目の前の動く銀の玉をただただ凝視していた。


「リーチ!」


無機質な電子音が告げる。


しかし、無情にも当たることなくまた台が回転し始める。


タバコを取り出し、火をつけて“それら”に気付いた。


俺の両側に人が座っている。それだけでは、特別珍しいことではない。


だが、両側に座る二人が異質だった。


右に目をやると“それ”と目が合い、視線をそらすと左の“それ”がジッとこちらを凝視していた。
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