黒い男と白い女
なんとも奇妙だ。


俺の右に座る“それ”は、どう見ても10代。しかもランドセルを背負っていても不思議でないくらい小さい。


そして、なにより白い……。


頭につけるリボンから靴まで白で統一されゴスロリファッションに身を包んでいる。


そして、左に座る“それ”は対象てきに黒い……。


スーツにサングラス、革靴までが黒いのは理解の範疇だが、ネクタイにYシャツまで黒い。


そして、“それら”はずっとこっちを見ている。


無視して目の前に集中しようとすると、黒い男の台が当たりを告げた。


それでも黒い男はこっちを見ている。


黒い男の当たりに同調するように白い女の方も当たりのランプが点灯する。


だが、白い女も同様にずっと俺を見ている。


気味が悪くなって俺はトイレに立った。


トイレへと行こうとする俺の背にはまだ“それら”の視線を感じた。
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