オニューの制服、
新しい学校、
新しい生活。

友達ちゃんと作れるかなとか

勉強ついていけるかなとか

期待と不安を胸に抱きながら入学式にのぞんだ。
私はそんな普通の、平凡な女の子だった。

そう、あの事件が起きるまでは…


「おはよ〜、紗奈!」

「おはよ、紗来!」

今日も元気に挨拶を交わす。
このおてんば娘、紗来とは入学式翌日に仲良くなって
半年がたった今ではもうすっかり幼なじみのような仲だ。


入学式翌日。
私は期待と緊張の入り混じった感情を胸に秘め
その場で一旦深呼吸。
平静を装って教室のドアを開けた次の瞬間…

目の前に紗来の顔のどアップ。

「あはは!今の顔!ビックリした!?ねぇ、ビックリした!?」

一人で大爆笑をし、
楽しそうに聞いてくるおてんばな女の子。

初対面なんですけど…

私の率直な感想。
目の前に急に現れた顔よりも
うるさいくらい大きい声よりも
何よりも初対面でそんな悪戯ができる勇気にビックリです。


今思えば運命だったのかもしれない。
紗来と出逢えたこと。
紗来が悪戯した相手がたまたま私だったこと。
その後着席した席が紗来の真後ろだったこと。
紗来と、親友になれたこと…


暑い帰り道。
もう日が沈みかけていてふたりの影が長く伸びる。

「ねぇねぇ、今急に思ったんだけどさ、私達って名前も似てるよね!」

急に突拍子もないことを言われ思わず自分の名前を思い巡らす。

「あ〜、そんなこと考えたことなかったけど、そういえば「紗」の字も同じだね!」

「でしょっ!私達ってほんと共通点多いなぁ。趣味は音楽鑑賞に読書。好きな色は緑で〜、好きな食べ物はピザ!」

そう。紗来とは本当に気が合うんだ。こんなたわいもない会話が毎日とてつもなく楽しかった。

「帰り道まで一緒だもんねっ。前世は双子だったかもね〜!」

私が冗談を言うと紗来は必ず乗っかってくる。

「じゃあ私がお姉ちゃんね!」

目をキラキラさせて元気よく手を挙げる紗来。
そんな紗来に呆れ顔で返す私。

「どう考えても私がお姉ちゃんでしょ。」
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