小悪魔 BOY
「そういやエミリ、家に連絡したの?」
あ‥‥‥
「忘れてたっ」
「バカーっ
早く連絡してきなっ?」
皆で楽しく話していると、蘭子が思い付いたように口を開いた。
真面目に連絡忘れてたや。
私は携帯を持って席を立つと、トイレへと向かった。
──── プルルルル
うちは、割りと厳しい家庭で、私が高校生になってからは、ものすごく監視をされるようになっていた。
過保護、じゃなくて監視。
「はい、高梨で御座います」
「あ、ユキさん?」
「お嬢様っ!旦那様がお怒りでしたよ?」
やっぱりか。
「すみません。連絡忘れてて‥。じい様はいらっしゃる?」
「あ‥、それが先程、会合があるようで外に‥」
「じゃあ、少し遅くなると伝えておいて下さい」
「かしこまりました」
ほら、ね。
心配してるなら会合なんかに出掛けないはず。
私が、お母さんみたいに"変な事"をやらかさない様に監視してるだけなんだ。
愛する人と駆け落ちをして、私を産んですぐに亡くなったお母さん‥
どんな人だったん‥
「せーんぱい♪」
「わ゛っ!」
月島‥くん?
トイレに寄りかかり私を待っていたのは、ニコリ、いつもの笑みを浮かべた月島くんだった。