小悪魔 BOY
一体、どのくらいくらいキスしていただろうか。
私の心臓が、悲鳴をあげてる。
「先輩、好きです。
それだけ、覚えておいて下さい」
私の名を呼んだ、声の主が近付いてきた時、月島くんが私の目を見て言った。
不覚にも心臓がときめいてしまったのは‥
「何やってんですか?」
気のせいだ。
「要。何故ここに?」
「お祖父様に言われて‥」
「探しに来たってわけね」
「ええ‥って、エミリ?」
月島くんの行動と、じい様の行動。
どちらにもイライラしていた私は、要の言葉を無視して、今度こそ2人の元に戻った。
「エミリ、おっそーい!」
案の定、怒った蘭子の姿が目に入った。
「蘭子、輝、ごめんっ!
要が迎えに来たから帰るね?」
「要さんが‥?なんでまた‥」
突然の要の登場に驚いた様子の2人。
うん。私だってビックリ。
「じい様の差し金みたい」
私がそう言うと、2人は納得したのかそれ以上は何も聞いて来なかった。
「あ、ねぇ。ノエルくんと会わなかった?」
私が2人に手を振り帰ろうとした時、蘭子の口から突然出た彼の名前‥
月島‥くん‥。
「しっ、知らないあんな奴!ばいばい!」
彼の名前に自分でもわかるくらい動揺してしまった私は、おそらくとんでもなく赤いであろう顔を、2人に見られないように、慌ててその場を後にした。