小悪魔 BOY
「さっきの彼は誰です?」
あまりにも静かな車内。
そんな沈黙を破ったのは、要だった。
「さっきの彼、って?」
月島くんの事だとわかっていながら、あえて聞き返す。
月島くんの事には、触れてほしくないのが私の気持ちだった。
「トイレの前で一緒にいた彼です」
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、要はぐいぐい聞いてくる。
「ただの後輩よ」
「そうですか‥」
目を反らしながら話す私に対し要は、静かにそう呟いた。
要には、知られちゃいけない。
そんな思いを抱きながら、早く家に帰る事ばかり考えていた。