小悪魔 BOY
「はぁ…」
あれから私は、わざと遠回りして部室に向かうようにしていた。
あの一件からじい様の監視はますますきつくなり、毎日要が迎えに来るようになっていた。
そんな窮屈な生活に私はもうどうでもいい、そんな気持ちになっていた。
せめて、高校生活だけは普通の女の子として。
恋愛もしたかったし、学校帰りに友達と寄り道して騒いで…
そんな事も許されないの?
「先輩…」
突然の声に私の体がびくっ、と過剰な反応を示す。
それは彼の声だったから、余計にそう反応したのかもしれない。
「…泣いてるんですか?」
一歩近付いて私の目元に触れる。
「違っ…目に…ゴミが入っただけ」
彼の手を振り払い彼に背中を向ける。
「先輩、嘘が下手ですね」
今、心臓の鼓動が早いのは気のせい。
「無理すんなよ」
そう言って抱き締める彼にときめいているのもきっと…
気のせい…