日のあたる場所で
部屋から
私がこの部屋から見ている風景は、何も変わる事なく毎日が過ぎていく。
でも、風景は変わらなくてもその中には人間模様が描かれている時がある。
「今日は遅いなぁー。」
私は、光りがよく入るこの窓から変わらない風景を見ていた。
「あっ!来た。…そっかぁ、今日は休みの日だから、お孫さんと一緒だったんだ。」
家のすぐ近くの道を、おじいさんと女の子が犬の散歩をしていた。
いつもなら、もう少し早い時間におじいさん一人で散歩をしているのに…二人とも楽しそうに歩いて行った。
「…良いなぁ。私も散歩したい。」
私が歩いて良いのは、この広い家の中だけ。
私は……
「菜月(なつき)!」
「…知秋(ちあき)。」
いつの間にか、部屋に入っていた彼に驚いていると、つかつかと私の前に歩いて来た。
「ダメだろ!ちゃんとベッドで寝てないと。」
「大丈夫よ。今日は調子が良いから。」
彼に笑って見せても、怒った顔は変わらなかった。
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