日のあたる場所で


「ダメだ!早くベッドに入れ。」


知秋は、ビシッとベッドを指差して私を見ていた。


「…どうしても?」


「はぁ…どうしても。」



私はしょうがなくベッドの中に入って知秋を見た。



「今日はどうしてこんな時間にここにいるの?」


「あぁ。少し時間が出来たから菜月の顔を見に来た。」


ようやく少し笑って知秋は、私の手を握った。



「ありがとう。いつも来てくれて。」


「当たり前だろ?婚約者なんだから…。」




そう…私と知秋は婚約者同士。

知秋は私の通う病院の院長の息子であり、私達は幼なじみでもある。



「ねぇ…知秋?」

「ん?」


「私……奇跡だと思うの。…二十歳までの命だって言われてたのに、それから三年もたってる。……生きてる。」


「うん。」


知秋は手を握ったまま私の話を聞いてくれた。


「でも、いつまでも続かないと思うの。私もいつかは死…」

「菜月!!それ以上言ったら本気で怒るぞ…。」



「知秋…。ごめん。たまに怖くなる時があるの。」


その時、知秋の手を握る力が強くなるのを感じた。




「だから言ってるだろ…菜月の事は俺が助けるって。俺だって一生懸命頑張って医者になったんだから…俺を信じろ。」


「うん。」



私は、ただうなずいて知秋の温もりに身を任せて深い眠りに入った。




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