日のあたる場所で
「お嬢様、もう少し自分の体を大切にして下さい。」
「はぁい。」
庭に降りて翔太君の所に行くとちょっと怒られてしまった。
「ねぇ、これって薔薇の花でしょ?」
翔太君越しに見えた薔薇に手を伸ばした。
「あっ!気をつけて、トゲがありますから。」
「うん。……綺麗だね。いっ!!」
言われた側からトゲで手を切ってしまった。
「菜月!見せて…だから言っただろ…?」
翔太君は私の手をとって、絆創膏を貼ってくれた。
「ごめんね?ありがとう。」
「あ……いや。すみません。」
パッと私の手を離して翔太君はまた、花の手入れを始めた。
「良いのに…。そんな言葉遣いしなくても。……さっきみたいに、菜月って呼んでよ。昔みたいに。」
「…そんな事できませんよ。あなたは、この家の娘さんなんですから。」
翔太君の背中を見つめながら、何とも言えない寂しさが胸を締め付けた。
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