日のあたる場所で


詩織さんと一緒に私は庭に降りて来た。



「翔太君!」


遠くに見える翔太君に、大きく手を振った。


私の姿を見つけると、翔太君は走って来てくれた。



「お嬢様…。大丈夫なんですか?ここに来ても。」


「うん、知秋が誰かと一緒ならって良いって言ってくれたから。」


そう言うと翔太君は詩織さんを見て、軽く頭を下げた。


「それで…何か?」


「あ、うん。昨日はごめんなさい。私のせいで嫌な思いをさせてしまって。」



「あぁ。…気にしてません。あっ!ちょっと待ってて下さいね。」


翔太君は何かを思い出した様にどこかに行ってしまった。


詩織さんと顔を合わせて首をかしげると、すぐに翔太君は戻って来た。



「これどうぞ。今朝、咲いていた薔薇なんですけど…お嬢様の部屋にどうかなって。」


「うわぁ!素敵…。ありがとう。…詩織さん!さっそくこの薔薇、お部屋に飾ってくれる?」

詩織さんに薔薇を渡して、部屋に行ってもらった。



「知秋とは?大丈夫でしたか?」


詩織さんの姿が見えなくなると翔太君が聞いた。





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