なんちゃってのその後に



お花見、当日。
見事快晴。
そういえば朱香と遠出とかしようとすると必ずいい天気になる。


「おはよ。ちゃんと捕まっててね?」

「おはよう。解ってるよ。」

そう言いながら慣れたように後ろに乗る朱香。
最初は“絶対乗らない!!”とか“怖い!!”とか散々文句を言ってたし、乗り方もぎこちなかったのにな。
朱香が乗ったことを確認してエンジンをかける。


「いくよー?」

「はーい。」


朱香の返事を聞いて、バイクを走らせた。





「あそこにも桜!!」

「あ、ホントだ。」


走りはじめて小1時間。
休憩も挟んではいるけど走りっぱなし。
朱香が疲れて来るかと思えば、このテンション。
桜を見つけては、喜びの声をあげていた。


「あ、あっちも!!ほら!!」

「ホントだー。綺麗だね。」

「うん!!」


ホント嬉しそうで俺まで嬉しくなる。
連れてきて良かったな。
まったく人の苦労を知らんと、ノンキな顔しやがって…。

まぁ秘密にしたのは俺なんだけど。

実は花見をする為に、実験とかやらねばならないことをちょっと調整した。
後でしわ寄せくるだろうけど…。
ま、この笑顔の為なら平気。


「あそこかな?着いたよー。」

「わーい♪」



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