なんちゃってのその後に

そこにはたくさんの桜が春の喜びを唄うのが見えた。


「綺麗…。」

「でしょ？」


重樹が思わず零した一言に嬉しくなる。
連れて来てくれたのは重樹なんだけど…。


「行こう？」


桜に見とれる重樹の手を引いて中へと進む。
見とれるってことは重樹も喜んでくれてるのかな？

桜を見ても切なくならない。
すごく優しく見える。
こんなに優しい桜は久しぶり。



中に入ると山とは言っても公園みたい。
ベンチやアスレチックまである。
昔はよく家族出来てたな…懐かしい。


「どこで食べようか？」


キョロキョロと空いているところを探す。
今日は平日なのに人が多いなぁ…。
せっかくのお花見だからゆっくりしたいのにな。


「朱香、あそこは？」


重樹がちょっと行ったところの桜の木の下のベンチを指差す。


「あ、いいね！行こっ！」


思わず走り出す。
春風が肌に気持ちいい。

重樹も後から桜の下へ来ていた。