なんちゃってのその後に



「あんまり上手じゃないんだけど…。」


思い付いたいいこと。
今日ギリギリだった理由。
ベンチに座り、恐る恐るお弁当を広げた。
おにぎり、卵焼き、鶏の唐揚げ、キュウリ…。
花見のお弁当っていうと家はこれ。
しかもザックリ箱に詰めるだけ。
適当な感じがするから、すごく心配。


「いただきまーす!」


重樹が最初に取ったのは唐揚げ。
家オリジナルの味付け。
簡単だけど…好みもあるし…不安。


「うまっ……!!」

「ホント?良かった!!」


重樹から笑顔が除く。
良かった。
たくさん食べてくれてるし。
成功かな?


「キュウリ?なんか切り方可愛い。」

「あ、うん…簡単なんだけどね。」


ただのキュウリだからせめて切り方は可愛く…と思ったんだけど、良かった。
互い違い切り?
料理番組を見ていて覚えた切り方。


「卵焼きも美味しい。朱香はお砂糖入れないんだ?」

「あ、うん、家のが入らないの。」

「へぇー。」


なんだかいつもと違って質問が多いな。
重樹が楽しそうに見える。
私はドキドキで味が解らないんだけど…。


「ごちそうさまでした。」

「おそまつさまでした。」


笑顔で言う重樹。
その笑顔が嬉しい。
思わず私も笑顔が零れてしまう。



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