地味子の秘密*番外編*
◆お互いに地獄のホワイトデー
├前編
――陸side――
ハァ~……。
もうため息しか出てこない。
『……悪いな杏。今度、この埋め合わせはするから……』
先ほど彼女に言った言葉を、もう一度思い出してみる。
やっちまったよなぁ……。
教室の自分の席で、目の前にある書類を見ながら、激しく落ち込んだ。
「滝本くん?」
机にふっつぷしていると、頭上から声が聞こえる。
「なに?」
俺の本性を知っているヤツの声だったので、のろのろと無表情のまま顔を上げた。
王子様として対応するなら、ニッコリと笑顔を浮かべるが……コイツには通じないからな。
その人物とは―――。
「なにを落ち込んでいるのよ。オーラが干からびているわよ?」
今日も、手入れされた栗色の長い髪を揺らしている俺の幼なじみである悠の彼女・松沢柚莉だ。
今の5限目の休み時間に、悠のところに遊びに来ているらしい。
ハァ~……。
もうため息しか出てこない。
『……悪いな杏。今度、この埋め合わせはするから……』
先ほど彼女に言った言葉を、もう一度思い出してみる。
やっちまったよなぁ……。
教室の自分の席で、目の前にある書類を見ながら、激しく落ち込んだ。
「滝本くん?」
机にふっつぷしていると、頭上から声が聞こえる。
「なに?」
俺の本性を知っているヤツの声だったので、のろのろと無表情のまま顔を上げた。
王子様として対応するなら、ニッコリと笑顔を浮かべるが……コイツには通じないからな。
その人物とは―――。
「なにを落ち込んでいるのよ。オーラが干からびているわよ?」
今日も、手入れされた栗色の長い髪を揺らしている俺の幼なじみである悠の彼女・松沢柚莉だ。
今の5限目の休み時間に、悠のところに遊びに来ているらしい。