地味子の秘密*番外編*
先月の2月14日。
俺は、バレンタインデーってことで、女たちから大量のチョコをもらった。
その数は、300個以上。
もらい過ぎて、ホワイトデーにお返しどころじゃない。
いや、正確に言うと、俺の給料からなら、お返しは準備できる。
しかし、律儀に返して、気を持たせるようなことはしたくない。
それに、杏という本命の彼女がいる以上、他の女たちにお返しなんてやるつもりはない。
だから、ホワイトデーは、杏だけに返せばいいと思っていた。
あ……。
会社の仕事関係でもらったものは、さすがに無視はできないので、それなりのものをもう手配してある。
200個送られてきたところに、ホワイトデー当日、届くことになっているんだ。
それで、この前。
たしか、先週だったと思う。
杏に『ホワイトデーに、どっか行こうか?』と提案した。
アイツ、実家の家業を抱えているし。
俺にも、毎日仕事がある。
だから、俺たちのデートと言えば、俺の家か、学校の西棟。
学園内でも昼休みと放課後しか会わない。
幼なじみの悠たちカップルみたいに頻繁に出かけることは、ほとんどないんだ。