地味子の秘密*番外編*
「んなの、やらない。他の日に変えろ」
≪ムリです。もう決定事項です≫
「14日だと? ふざけるな。俺はアイツと出かけるんだよ!」
≪しかし……重役たちも、その日しかスケジュールが空いておりません……≫
このバカ秘書!
俺が14日に、どうすれば仕事をしなくていいかあれこれ考えて、今、猛スピードで仕事をこなしているというのに!
重役会議の議題は、新たなプロジェクトのことらしい。
企画で上がってきたことらしいが、大きな金を動かすことになるようで、重役たちの意見を聞きたいそうだ。
そんなの、俺にとっちゃ……14日以降に話し合えばいいことだし。
≪とにかく、14日の午後1時にお迎えに上がります。その日は、確か……学園の方は午前中で終わられますよね?≫
もう、北原の中では、14日に行うことは決定らしい。
一応、社長である俺の意見なんかムシだ。
「おい、アイツと約束してんだけど」
≪そんなことを言われましても……私にはどうすることも出来ません≫
コノヤロー。
会社に行ったら、絶対にシバく!
見た目童顔で、俺よりチビで、『イジメられたいです』って顔してんのに。
いや、いつもイジメてるけど。
北原は、直接会っている時と、電話口の対応には、差がある。
なんでも、電話だと俺が怖くないとか思うらしい。
だから、電話の対応は多少強気だ。
≪14日、逃げないでくださいね!≫
そう言って、北原は電話を切った。