地味子の秘密*番外編*
みんな、パフェを食べ終えたら、もう4時を過ぎていた。

1時間はお店にいたみたい。

またみんなでショップをぶらぶらとしていたら、いくつかの視線に気づく。


「かわいくね?」

「あれ、松沢だろ?」


どこの高校かは知らないけど、男の子たちがこっちを見ていた。


そうか。

忘れていたけど、うちの学園って、美男美女が多いって有名なんだよね。

今日あたしと一緒にいるみんなが、かわいいんだ。

特に、中村さんとか学年でも人気だし。

他のふたりも、女の子らしいからホントかわいい。

制服だから、松沢だってわかるんだよね。

その中にいる地味子のあたしって……松沢の評判を落としているかも?

なんて、考えていたら。


「え? ウソ~!!」


あたしの隣にいたクラスメイトの山野さんが、ケータイを見ながら突然声を上げた。

ミディアムくらいの長さの髪をポニーテールにいつもしている。

身長もあたしよりちょっと高いくらいの女の子。


「どうしたの?」


そう聞くと、彼女は困ったような顔をした。




その30分後。

あたしたち4人は、駅近くのカラオケボックスにいた。

結構大きくて、他の高校生も多い。


「杏樹ちゃん、ごめんね?」

「ううん、大丈夫だよ」


手を胸の前に合わせて、謝ってくる山野さんにそう言った。


「ホント? 陸様怒ったりしない?」

「うん、みんなと遊ぶって伝えているから」


中村さんが、すごく気まずそうに問いかけてくる。




そのワケは、30分前にさかのぼる。
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