地味子の秘密*番外編*
「おいっ! タケシ?」
トウマがそう言った瞬間。
――グラッ……
俺の視界が反転した。
状況が理解できた時には、俺は床に寝転がっていた。
「な、なんでこんなことに……」
手足がうまく動かせない。
誰かに縛りつけられているみたいだった。
その瞬間。
「やっと効いたかな?」
目の前に座っていた杏樹ってヤツが、少し笑みを浮かべて立ち上がる。
なんだよコイツ!?
そう思ったのは俺だけじゃないらしく、男たち全員がソイツを見ていた。
女たちは、全員荷物を持ち、杏樹の後ろに隠れる。
ホントに、なに者なんだよ。
そう考えても、俺は、口さえも動かせなくなっていた。
――杏樹side――
フフ……。
やっと術が発動したみたい。
ちょっと笑いながら、男の子たちを見る。
「なんでって顔してるから、教えてあげようか?」
彼らは、あたしをジッと凝視していた。
ニッコリと笑って、ケータイをポケットから取り出す。
――カチカチッ
ボタンを押して、メッセージを再生させた。
≪……女たちもバカだよな。俺たちに写真撮られて、ずっと脅される羽目になるんだから≫
これは、さっきこの部屋で男の子たちが話していた会話。
トイレに行く前に、録音の設定をして、部屋の外からちゃっかり録音していました。
ちょうど、曲を家は流れていなくて、静かだったから、十分に声を拾えたんだよね。
「あたしたちに薬なんて、飲ませようとしてたんだ? 残念だね、全部知ってたよ」
そう言うと、男の子たちは口をパクパクとさせた。