地味子の秘密*番外編*

「おいっ! タケシ?」

トウマがそう言った瞬間。

――グラッ……

俺の視界が反転した。

状況が理解できた時には、俺は床に寝転がっていた。

「な、なんでこんなことに……」

手足がうまく動かせない。

誰かに縛りつけられているみたいだった。

その瞬間。


「やっと効いたかな?」

目の前に座っていた杏樹ってヤツが、少し笑みを浮かべて立ち上がる。

なんだよコイツ!?

そう思ったのは俺だけじゃないらしく、男たち全員がソイツを見ていた。

女たちは、全員荷物を持ち、杏樹の後ろに隠れる。

ホントに、なに者なんだよ。

そう考えても、俺は、口さえも動かせなくなっていた。





――杏樹side――

フフ……。

やっと術が発動したみたい。

ちょっと笑いながら、男の子たちを見る。

「なんでって顔してるから、教えてあげようか?」


彼らは、あたしをジッと凝視していた。

ニッコリと笑って、ケータイをポケットから取り出す。


――カチカチッ

ボタンを押して、メッセージを再生させた。


≪……女たちもバカだよな。俺たちに写真撮られて、ずっと脅される羽目になるんだから≫


これは、さっきこの部屋で男の子たちが話していた会話。

トイレに行く前に、録音の設定をして、部屋の外からちゃっかり録音していました。

ちょうど、曲を家は流れていなくて、静かだったから、十分に声を拾えたんだよね。


「あたしたちに薬なんて、飲ませようとしてたんだ? 残念だね、全部知ってたよ」


そう言うと、男の子たちは口をパクパクとさせた。


< 152 / 381 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop