地味子の秘密*番外編*
だけど、それ以降。


吉川未子は本当に天才だと思わせざるを得なくなる。


零に頼まれた資料作成も俺たちの半分の時間で作成し、生徒会の仕事もテキパキとこなした。

仕事の出来から、俺は生徒会にスカウトし、働いてもらうことにしたのだが……。

勉強だけでなく、料理も学園が抱えるシェフより上手かった。

だが本人は、それがすごいとは微塵も考えておらず、「これくらいたいしたことないでしょ?」などと言っていた。


生徒会に入って、吉川についていくつかわかったことがある。

前の高校は、松沢学園。

あそこには、悠がいる。

俺たちの親同士が昔から仕事仲間だったため、悠とは顔なじみだった。

そして、地味子となって隠しているのかは知らないが、その容姿。

メガネを取った姿を初めて見た時は、本当に同一人物かと疑った。

生徒会4人が、口を開けて見つめてしまうほど整った顔立ち。

学園内では、地味だのブスだのと言われているそうだが……そう言っているヤツらが足元にも及ばないほどの美少女だった。

雅人の弟が松沢にいる。確か2年だろう。

これだけずば抜けた容姿の持ち主ならば、雅人の弟が知っていてもおかしくないと思った
のだが、どうしたことか……“吉川未子”という生徒は知らないと言われたのだ。



その頃から、たぶん、俺はメガネ女に興味を持ち始めていた。

女嫌いだというのに、アイツの隣は居心地がよくて。

ベタベタと近寄ってくる今までのヤツらとは違い、俺を「八岐大蛇」と呼ぶ。

言い合いも出来て、睨んで見せるとすぐにシュンと小さくなる。

そんな彼女のくるくると変わる表情を眺めているのが好きだった。


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