地味子の秘密*番外編*
そして、問題の川に着く。

そこは……泥の色で濁っており、水の流れはハンパなかった。

たしかに、子供が助けに入ろうとしたら、そいつまで流されてしまうだろう。

この兄が、俺たちに助けを求めてきたのは正解だった。

――ポンッ


「悠、ちょっとカバン頼む」


教科書の入ったカバンを悠に持ってもらい、川の中に入る。


「ちょっ! 陸!?」


後ろで、悠が何か言っているが、先にガキを助けるのが優先だ。

――ジャブジャブ……ゴオオ……

流れの速い川で、足元をすくわれそうになった。

おまけに、思っていたよりも深い。

これでは、小学生は足が届かないだろう。


「うっぷっ……おにいっ……ちゃん!」


小学校低学年ぐらいの子どもが、必死に沈まないように手足をバタバタとさせていた。


「ほらっ! 手伸ばせ!!」

「うんっ……」


子どもが、小さな手を必死に伸ばす。

さっさと上がらなければ、ガキの体力が持たねえ。



――パシッ!

自分も流されないように気を付けて、数分後、ようやく手が届き、川から上がった。





「ありがとうございました!!」

「あなたがいなかったら、どうなっていたか……」


川から上がって、数分後。

騒ぎを聞きつけたらしい……この兄弟たちが通っているらしい小学校の女教師、俺たちのとこにやってきて、お礼を言われた。


「いいえ、ケガがなくてよかったですね」


雨に濡れて、顔に張り付いた髪をかき上げながら返す。



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