地味子の秘密*番外編*
さいわい、兄弟たちにはケガはなかった。

ふと、周りを見ると、結構な数の野次馬がいる。

子どもを助けるのに必死で、気づかなかったな……。


「お兄ちゃん、ありがとう」


ポロポロと泣きながらお礼を言う兄。


「うわぁ~ん、こわかったぁぁぁー」


女教師に抱き着いて泣く弟。

ふたりは雨でびしょ濡れだ。

そういう俺も、全身ずぶ濡れだった。


「あのっ……自宅まで送りましょうか?」


女教師が、俺の身なりを見て提案してくる。

う~ん。

いや、このまま学園に行った方が早いような気がする。

事情を説明して、校内にあるシャワー室でも借りよう。


「大丈夫です。すぐ近くに学校あるんで。それより、この子たちが風邪を引かないようにしてください」


ニッコリと笑顔で断り、兄弟たちを先に優先させることを頼んだ。



30分後―――。

学園に登校した俺と悠は、教師たちに事情を説明した。

悠は、特に何もなかったので教室へ行き、ずぶ濡れだった俺は、保健室の近くにあるシャワー室を借りることになった。

そのままだと風邪を引きそうだったので、ネクタイをとり、シャツも脱いだ。


「キャアアア! り、陸様が!!」

「すごいっ……結構筋肉あるよ。腹筋われてるもん!」

「かっこいい~川に落ちた小学生を助けたんだって!」


ちょうど、休み時間だったのか、保健室に着くまでに、女たちからちょっと騒がれる。

うるさい……。

つーか、さみーよ、これ。

そんな思いで保健室に到着。


「滝本くん、その制服は洗濯するから、保健室の制服を渡すわね」


養護教諭が俺の制服を預かってくれるという。

お言葉に甘えて、保健室にあった制服を受け取った。


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