地味子の秘密*番外編*
物陰から、先パイの姿を見る。

やっぱり先パイだ……そして、隣には……あの女。

神崎杏樹がいた。

さっきの声は、あの女だったのね。

というか、初めてあの女の声を聞いたかも。

フンッ! 先パイをたぶらかした女よ!!

先パイから離れなさいよ!!


この時の私は、あの女が一方的に先パイのことが好きで、先パイはそうじゃないんだと思っていた。



物陰に隠れたまま……ふたりの様子をうかがう。

先パイたちからは、私の姿は見えてないから、この状況がバレることはない。

おまけに様子がばっちりと見えるし。


耳を澄ませると、会話が聞こえてきた。


「雨、全然止まないんですけど」

「あ、あと10分で止むはずだもん!!」

「それ聞くの、もう3回目」

「あぅっ……す、すいましぇん……」



先パイたちは雨が止むのを待っているのか、ふたりでおしゃべりをしている。


傘……ないのかな?

自分のカバンの中にある折り畳み傘を握り締めた。



その瞬間。



「キャア!?」


あの女から悲鳴が上がる。



な、何事?

視線を傘から、先パイの方へ向けると……。

え……。


先パイが、あの女を自分の足の間に座らせていた。


さっきまで隣に座っていただけだったのに。


どうして?


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