地味子の秘密*番外編*
こう言われては、俺としては強く言い返せない……。
だが。
「家の中で待っていてもよかっただろ?」
わざわざ寒い中、外にいる必要はない。
そう告げると、また杏はペンを走らせる。
『最初は、岡本さんに勧められて、部屋で待っていたんだけど……まだ帰ってこないのかな?って思ってたら、じっとしていられなくて』
書いたボードを俺に見せた。
はぁ……。
「ったく、バカ」
心の中で、ため息をつき、杏の体を引き寄せる。
コートを着ていても、俺の腕の中にスッポリと収まるほど細い体。
もうちっと、太ってくんねーかな……。
あまりにも細すぎて、壊してしまいそうな感覚になるから。
こんな冷える夜で、寒かっただろうに、俺のこと待っていてくれたんだよな。