地味子の秘密*番外編*
そう考えただけで、さらに顔は真っ赤になってしまう。

高瀬くんの顔が見れなくて、フイッと反らした。


「あ? まだ食いたいわけ?」

「えっ……」


ーーパクッ

突然の問いかけに、驚いて振り返った瞬間に、再び口にブラウニーを放り込まれた。

もう、自分で作ったものの味とかわからない。


ただ、この状況についていけなくてポカンとしていた。


そうして、高瀬くんは私が渡したブラウニーをすべて完食してしまった。

また、最後には。


「あ、ついてんぞ」

スッと手を伸ばしてきて、私の口の端についていたらしいカケラを取ってくれて……そのまま口に運んだ。


はわわわわわ……!

今までにない状況に、私の頭の中はパニック状態。


極めつけは、彼のセリフだった。



「お前の菓子うまいな。また作れよ」


滅多に褒めてくれなくて。

剣道の腕が上がったとしても、全然褒めてくれないのに。

そんな彼が褒めてくれた。


「はいっ!」


嬉しくて思わず、大声で返事してしまう。

すると。


「ハハッ……声デカ。そんだけの元気あんなら仕事も行けるな」


クシャッと、いつもの仏頂面なんてなかったように、優しい笑顔で返された。

ポンポンと帽子の上から頭を撫でられて、また顔が赤くなってしまう。


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