地味子の秘密*番外編*
時刻は午後を過ぎたところ。


この庭には、様サマな花が植えられた花壇があり、春に近い今は多くの花たちが満開になる準備を進めている。

蕾のものが多いけど、それでもなんだかキレイだと思えた。


ボーっと、庭の花たちを見ていると。



「お前、ほんっと欲ねーよな?」



あたしの頭の上に顎を置いて、そう問いかけてくる。


そうかな? 十分贅沢してると思うんだけど。


声の出ないあたしのそばにずっといてくれて。


今日は、陸のお仕事、休みなんだ。


ホワイトデーだから、どこかへ出かけるために休みを取ってくれたらしい。


でも、あたしはこの庭で十分なんだよね。


どこへも行かなくていいから、ふたりでのんびりしたい。


十分、ワガママ言ってると思いますが?



そう思って、陸の顔を見上げた。


すると。



「もっと言ったっていいんだよ」


クスッと、あたしの考えていたことがわかったように笑って返してきた。


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