地味子の秘密*番外編*
え?
ポカンとして、一瞬意味が理解できなかった。
京都……?
「お前、ばあちゃんと約束したんだろ? また会いに行くって。大学も休みだし……会いに行こうか?」
そう続けた陸は、フッと笑ってあたしの頭を撫でる。
去年の夏、ばあちゃんの家に行った時、約束したんだ。
今度、陸を連れて会いに来るって。
ホント? 京都行ってくれるの? ばあちゃんに会ってくれる?
キュッとヤツの服を握ると、理解してくれたように首を縦に振る陸。
「その代り、前のように悠たちはいないぞ。ふたりだけで行く」
陸が言うのは、高1の終わりに出かけた温泉旅行のことだとわかった。
今回はふたりだけで行くの?
でも、大丈夫かな? 迷子になったり……。
「バカ。お前と俺を一緒にすんな。方向音痴じゃねーよ」
あたしの心配なことを見事当てて、否定する。
じゃあ、平気だね。