地味子の秘密*番外編*
「はぁー……ったく」
頑固なほどに動かないので、ため息交じりに話しかける。
「まずは防具を片付けろ。話はそれから聞いてやる」
命令すると、ゆっくりと俺から離れる茅那。
ようやく見えた顔は、切羽詰まったように思いつめており……目には涙が浮かんでいた。
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「入ってこい。着替えは母さんに用意してもらう」
道着姿の茅那の手を引き、風呂場まで連れてきた。
うわの空とはいえ、稽古はしたから汗だくだ。
カゼ引かれたら、俺がコイツの仕事相手に怒られる。
「とにかく風呂入って落ち着け」
そう告げて、茅那を浴室に押し込んだ。
俺も着替えるか。
自室で道着から普段着に着替え、タオルを首にかける。