地味子の秘密*番外編*
部屋を出て、リビングにいた母さんに話しかけた。


「茅那が風呂入ってるから、着替え用意して」


俺の声を聞いた母さんは、ニヤッと笑う。


「あっら~蓮! ついに茅那ちゃんと付き合うようになったの?」

「なわけねーだろ!」


よからぬ妄想を繰り広げているので、睨んで一喝した。


「え~~さっさと付き合いなさいよ! 私も茅那ちゃんならお嫁さんに来てもらってもいいわ」

「ひとりで言ってろ。着替え頼んだからな」


ルンルン気分で話す母親に見切りをつけ、自室に戻る。


今夜は、親父も帰ってこない。

じいさんも帰ってこねーし……弟の飛鳥はとっくに寝てる。

さっさと、茅那の話を聞いたら、帰そう。





そう考えてから、20分後。

――コンコン

俺の部屋のドアを誰かがノックする。



「誰だ」



問いかけると、返事は無言だった。

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