地味子の秘密*番外編*


変なことに疑問を持ちながら、女性に問いかけた。


「すみません、何だか困っている様子だったので。大丈夫ですか?」


年齢がわからないので敬語で話すと、彼女の表情がわかりやすいくらいパアァァア……と明るくなった。


あ、かわいい!

美人だと思ったけど、今の顔を見たらかわいいとしか思えない。


「あの、ここにいる人に届け物をしたいんです。でも……道がわからなくて」


そう言って、彼女が見せてきたのは握っていた簡易的な地図。

覗きこむと、気づいた。


「あ、私の会社だ」

「え? ここにお勤めなんですか?」


キョトンとした顔を見せる彼女。

それさえ絵になるわ。


「はい、総務課です。私も会社に戻る途中なんです、一緒に行きましょう」


案内をすることを伝えると、女性は『お願いします』とキレイに微笑んだ。
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