地味子の秘密*番外編*
いや、みんな先に帰ったのか?
まぁいい。それより杏のことだ。
今のアイツは、事情により……声が出ない。
他人と関わることも困難なため、常に俺の傍にいることが多かった。
あの日から、俺から離れることなんてなかったのに……。
「ひとりじゃ行動しねーよな。朝比奈と一緒に居るはずだ……」
そう思っても、やっぱり心配。
ひとまず、大学内を探そう。
バックの持ち手を掴み、イスから立ち上がった、その時。
「Trick or Treat!」
朝比奈の大きな声が教室内に響いた。
声が聞こえた方を見る。
「は……?」
俺が目にしたものは、吸血鬼の格好をした朝比奈だった。