地味子の秘密*番外編*
「ねー陸くん、知ってる?」
「なにを?」
隣にいる女相手に、順番が来るまで話をする。
胡桃という女は、胸辺りまでの黒髪ストレートに、薄めに施された化粧。
夏らしい薄めのトップスに、マイクロミニ丈のデニムショーパンという格好だ。
足元は高いヒールを履いている。
そこまでギャルっていうほどでもない。
杏もこのくらいの格好はするもんな。
アイツの場合、着痩せするんで……胸のボリュームが隠れるがな。
手足が細くて長いから、ショーパンでも履いた時はスタイル抜群ということを実感する。
いや、もうちっと太ってほしいんだけど。
杏のことを考えていたら、女の話が俺の意識を引き戻した。
「ここね、心霊スポットとして有名なんだよ」
「病院だから、出てもおかしくないんじゃないのかな?」
ワクワクした表情で話す女に返すと、ヤツは人差し指を立てて横に振り、『違う違う』と言った。