地味子の秘密*番外編*
「マジなんだ」
カルテをその場に置き、立ち上がる。
さっさと最上階まで行こう。
そう考えて、ナースステーションを出た。
「斉木って女の子の命日って今日なんだね」
「うん、そうだね」
俺の隣を歩く胡桃って女は、肝試しをはじめる前には、『怖い~』って怯えていたくせに、今じゃケロッとしてる。
確かに、なんにもいねーからな。
視える俺が見ても、幽霊や妖怪一匹、病院内には見当たらない。
前に来たメンバーたちが言っていた話は本当だったようだ。
そう思っていた時に、また上へと続く階段に戻ってきた。
そして、一段登ろうとした瞬間。
――ブーッ……ブーッ……
マナーモードにしていたケータイに着信が入る。
「あ、ごめんね。ちょっと出てもいい?」
「いいよ」
ケータイを見せながら彼女に聞くと、快く了解をもらえた。