地味子の秘密*番外編*
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廃墟の病院での騒動から、1時間半が経過。
あの斉木を調伏した後、俺は杏から話を聞く間もなく……外で待っていたメンバーの元へと帰された。
『あとで、説明するから』
そう言いきられて、俺は従い……肝試しに使用したノート類を持って病院から出た。
まわってくる時間が長かったことと、ひとりで戻って来たこと。
それらにより、メンバーたちから色々と聞かれた。
全員が、同じ学部のヤツだと思っていた斉木 胡桃は、実は病院で死んだ幽霊で、一緒に肝試しに参加していたこと。
そいつが、血吸いの斉木さんで、襲われたことも話した。
参加した全員が、青ざめた表情になり、至急撤退したんだ。
それはそうと。
確かに襲われたと思っていたが、俺の首筋には……噛み跡なんてひとつもなかった。
あれだけ、生々しい音が聞こえていたというのに。
ケガひとつしておらず、不思議なまま帰宅したんだ。
帰宅して数分後に、杏が来た。
自室へと上げて、やっと話をする態勢になったんだ。
「で、どういうことだったんだよ?」
ベッドに腰掛けた俺が問いかけると、ソファーに座っている杏が話した。
「いやー、さっき言ったじゃん? あの廃院で斉木っていう霊が出るって有名だったんだよ。それで、じいちゃんから仕事命令が出て、向かったんだけど……まさか、陸たちが肝試しにくるなんて、ねぇ?」
「驚いたよー」なんて言って、悠長に紅茶を口に運んでいる。