地味子の秘密*番外編*
いやいやいや。

俺が聞きたいのは、そういうこともだけど……それだけじゃなくてさ。

いつから講堂にいたのかとか、俺にケガがない理由とか……。

悶々としていると、杏が俺の元へとやって来る。


――ギシッ……


ベッドに座ったことでスプリングが軋んだ。

そうして、改めて彼女の格好を見る。


黒の無地の長袖パーカに、マイクロミニ丈のデニムショーパン。


シンプルで、コイツの肌の白さを強調した格好だが……肌の露出が多いような?



「それ、仕事用の服か?」

「これ? うん。動きやすいのが1番だから、いつもこんな格好だよー」


なんてことないように答える杏に、内心ため息をつく。

いつも、かよ。

じゃあ、病院までの移動もこの格好だったってわけだよな?

電車に乗っただろうし……周囲のヤツらも見てたわけか。

自覚ねーもんな、自分の容姿に。



いや、今は格好のことを話すんじゃなくて。


「あそこにはいつからいたんだ?」


今日一番知りたかった話題を振る。
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