地味子の秘密*番外編*
高瀬くんの言うことはわかった。
彼の友達ということだけど一緒に居る時間が長かったから目の敵にされたことだ。
「高瀬くんの隣にいるなら……あのくらいのこと乗り越えなきゃ。だってライバルはたーくさんいるんですもん」
ふふっと微笑んで彼の顔を見た。
大丈夫、だって高瀬くんの彼女になれたんだもん。
再会してから告白までに1年半。
ずーっと想いつづけて……ようやく実った恋。
女の子たちから少々言われたって平気だもん、絶対に負けたりしない。
そう思っていると、高瀬くんは珍しくため息をついた。
「ライバルが多いっていうなら……俺の方だろーが」
「へ? なんでですか?」
「バカ茅那……お前、アイドルだろ」
呆れたように言う彼を見て『あぁ……そっか』と、近藤さんたちが話していたことを思い出した。
“BKN48の工藤茅那に彼氏がいたら全国のファンから呪われる”ってこと。
「あの話は大げさですよ~誰も呪ったりしません。私、メンバーの中でもモテない人なんで、大丈夫です!」
「お前も杏樹みたいに鈍かったのか?」
「え? どういう意味ですか?」
自信持って言ったのに、高瀬くんは深いため息をつくだけ。
杏樹ちゃんみたいに鈍い? なにが?
頭の上にはハテナマークだらけで、『わかりません』という思いで彼を見つめる。