地味子の秘密*番外編*
人見知りで。
でも好きなヤツや慣れた人にはなつっこくて。
あんな仕事をしておきながら……人前に出ることが苦手。
人気だって俺の欲目でもないくらいにあるというのに、未だに才能と容姿に自覚がなく自信がなさげ。
仕事で不安になった時や納得がいかなかった場合は必ずと言っていいほど俺に連絡をよこしてくる。
その内容は他愛もない会話ばかりなんだが、アイツにはそれがいいらしい。
しかしそのおかげで、人気絶頂というのに驕ることもなく。
謙虚で控えめなアイツがあるんだがな。
俺が茅那に興味がない、と思っているらしい沖田はさらにあーだーこーだと熱弁を繰り広げる。
別に茅那に興味がないわけじゃない。
じゃなきゃ付き合ってない。
昔のこともあって女とまともに関わらないようにしていた俺が、もう付き合って3年以上だしな。
沖田の話を聞き流していると、さらに俺の元へ話に加わる人が出てきた。
「もうっ沖田くん! それくらいにしてあげなさい! 高瀬くん困ってるじゃない」
コツっとヒールの音がして顔を向けると、そこには同じ刑事である斉藤さんがいた。
我が刑事課の紅一点。
背は170近くあって女性の中では長身だと思う。
零やありさと同じくらいか。
細身でスタイルが良く、スーツがよく似合う。
顔立ちもはっきりとした美人タイプ。
胸元で揺れる栗色の髪は手入れが行き届いている。
ぶっちゃけ、この刑事課の男たちの多くが憧れ、惚れている人だ。
年齢は俺より3歳上。
「ほらほら離れた! 沖田くんに女の子たちが妬いちゃうでしょ!」
ベリッと効果音が付きそうな勢いで俺から沖田を引きはがす。
ずっと目の前に男の顔があったので窮屈に感じていた。
解放され、ホッと息をつく。