地味子の秘密*番外編*
そして、あっという間に時間はやって来たのだ。



ヒソヒソと周りから声が聞こえる。


「マジ可愛い」
「初めてこんな間近で見た」
「良い匂いする~」


その発言はすべて、数メートル離れた場所にいる芸能人に向けてのものだ。

そう工藤茅那に向けて。


あれから時間は経ち、茅那が本当にやって来た。


署長に迎えられ、現在は署内の案内を受けている様子。

様々な部署を訪れては初めて見る警察署の中を興味津々で眺めている。

けど、ここが警察だってのに。

茅那が来たからか、警備がハンパない。

なんでもウチの署の外にも警備が配置されているそうだ。

まあ、それだけVIP扱いを受けるようになったんだな、アイツも。

署長も茅那をもてなすために通常の業務は中止なんて言い出す始末。


だから、こうして刑事課の男たちが茅那を眺めていても課長からお咎めはないという……。




そして、男たちが騒いでいる理由のひとつに。


「本当に制服姿可愛い。俺、絶対にドラマ見るわ」


茅那の女性婦警姿がある。

今日は1日署長を行うそうで、来た時から制服に着替えた。

今までにドラマや映画のため色んな制服を着てきたが、警察官は初めてらしく、茅那の目がキラッキラしているのが一目瞭然。


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