地味子の秘密*番外編*
シャンプーの甘い香りが顔のまわりに漂い、思考を停止させた。
目の前には長い睫毛を伏せた茅那の顔。
めずらしく彼女からキス。
「あはは、ぽかーんってしてる」
腕は首にまわしたまま少しだけ距離を開けた茅那はおかしいと言わんばかりに笑う。
してやったり、というイタズラが成功した子供のようだ。
ムカつく。
「やるならちゃんとやれ、バカ」
その言葉を最後に彼女の声は俺の中へと消えた。
茅那が署長室へ戻るため、上へと向かうエレベーターが来るのを待つ。
先程聞こえた足音の人物はどこかへ行ったようだ。
フロア内はまだ静か。
「もうっ……あんなにすることないじゃん」
「満更でもなかったくせに」
「そ、そんなことありません!」
顔をまっ赤にして怒りだす彼女が面白い。
早めに署長室へ帰そうと思っていたのに、甘えて離れたくないと言ったのはコイツ。
だから、俺はそれに応えたまで。
「昨日だってあんなに」
「あぁ、おかげで寝不足」
「あたしだって!」
「明日オフだろ」
「そうだけど」
「俺も明日非番だから」
「え?」
「今夜も覚えとけよ」
「あ、ありえない! 今日は寝るもん!!」
「昼から寝ればいいだろ」
「ひ!? なに言ってるの!?」
隣でキャンキャンを子犬のように吠えている茅那だが、その手はしっかりと俺と繋がれ……どんなことを言っていても彼女から手を離そうとはしない。
それが嬉しくて、ひそかに口の端を持ち上げた。
目の前には長い睫毛を伏せた茅那の顔。
めずらしく彼女からキス。
「あはは、ぽかーんってしてる」
腕は首にまわしたまま少しだけ距離を開けた茅那はおかしいと言わんばかりに笑う。
してやったり、というイタズラが成功した子供のようだ。
ムカつく。
「やるならちゃんとやれ、バカ」
その言葉を最後に彼女の声は俺の中へと消えた。
茅那が署長室へ戻るため、上へと向かうエレベーターが来るのを待つ。
先程聞こえた足音の人物はどこかへ行ったようだ。
フロア内はまだ静か。
「もうっ……あんなにすることないじゃん」
「満更でもなかったくせに」
「そ、そんなことありません!」
顔をまっ赤にして怒りだす彼女が面白い。
早めに署長室へ帰そうと思っていたのに、甘えて離れたくないと言ったのはコイツ。
だから、俺はそれに応えたまで。
「昨日だってあんなに」
「あぁ、おかげで寝不足」
「あたしだって!」
「明日オフだろ」
「そうだけど」
「俺も明日非番だから」
「え?」
「今夜も覚えとけよ」
「あ、ありえない! 今日は寝るもん!!」
「昼から寝ればいいだろ」
「ひ!? なに言ってるの!?」
隣でキャンキャンを子犬のように吠えている茅那だが、その手はしっかりと俺と繋がれ……どんなことを言っていても彼女から手を離そうとはしない。
それが嬉しくて、ひそかに口の端を持ち上げた。