地味子の秘密*番外編*

―茅那side―


はぁ……はぁ……はぁ……。

閑静な住宅が並ぶ道を、外灯の明かりだけを頼りに進む。
小さなショルダーバックを斜め掛けにして、コケない程度に走った。


時刻は、日付をまたぐ頃。
アリーナでのライブが終わって数時間ってところだ。
大成功で終了したライブ。
特に私のソロ曲はメンバーをはじめ、スタッフさんたちからも好評だった。


『今までで一番いいソロだった』


褒められて本当にうれしかったんだ。
自分でも、満足できたソロだったと思う。
それができたのは……カレのおかげだね。


ライブが終了して、片づけや挨拶などをして。
さっとシャワーを浴びてメイクも落とした。
すっぴんだけど、今日はもうお仕事ないから気にしない。
メンバー間での打ち上げにちょっとだけ顔を出してから、私は帰ってきた。
マネージャーさんに自宅まで送ってもらって、荷物を部屋においてから、最低限必要な物のみバックに詰め込んで家を飛び出した。


『会いたい』


そうメールしたの。
どうしても、今日は会いたくて。
打ち上げの会場からメールを出した。

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